ボルボ・トラック

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明日を見据えて: 電気トラックによる建設業界改革支援の形

ボルボ トラック
2025-02-26
3分
Electric trucks Construction
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ボルボ トラック

建設現場からは毎年何億トンもの二酸化炭素が排出されています。 電動機械は、電動トラックや電動建設機械を含め、二酸化炭素排出量や、都市部における大気汚染および騒音公害を減らすのに役立ちます。 低排出ゾーンの一般化も進んでいるため、電化の好機が到来している状況ではありますが、 建設業界は、どのような方法で、誰が主導し、何について検討しながら電化を進めてゆけばよいのでしょう?
   

建設業者による温室効果ガス排出の量は、概算で、世界全体の13%に達しています。 温室効果ガスは、建設業界に属するあらゆる業者が排出しており、 セメントおよび鉄鋼の製造業者や、輸送業者および解体業者による排出の量が特に多い状況にありますが、 建設現場から排出される温室効果ガスの量も、無視できない水準にあり、建設機械から直接排出される量だけをみても、毎年の二酸化炭素排出量は4億トンであり、世界全体における排出量の1.1%に達しています。 これは膨大な排出量ですが、 トラックと建設機械の双方を電化するという形で電動機械を導入すれば、温室効果ガス排出量の削減に寄与できます。

 

今では、建設現場でも電化が着実に進んでいます。 実際、いくつかの建設現場では、インフラの建設から解体に至るあらゆる場面で電動機械が本格稼働しており、その汎用性が証明されています。 具体例を挙げると、ノルウェーの首都オスロでは、概算で、建設現場の98%がすでに化石燃料フリー化されており、その4分の1弱では作業に電動機械が用いられています。

 

排出ガスゼロの建設現場は、業界によるカーボンフットプリント削減の一端を担うことができます。 また電化は、都市部における大気汚染および騒音公害といった問題の解決や、職場環境の改善にも役立つ可能性があります。 電化を促すには、その効果の証となる何かが必要ですが、 世界中の建設現場で有効な取組みとして電化が急速に進んでいる事実は、その証として十分なものです。 建設現場における電化は、インフラ、職場および住居の建設における環境負荷の低減だけではなく、 未来の街や都市の整備に必要な作業を電化して静かで安全な現場を実現するというビジョンの実現にも役立ちます。

 

一歩先行く都市  

Gustav Boberg氏は、Volvo Construction Equipmentにて、特定業界向けの持続可能なeモビリティソリューションの企画などに携わっています。 Gustav氏は次のように述べています。 「2019年に、Volvoは、その計画に基づく電動建設機械製造を開始し、従来型小型ディーゼル機械の開発はを中止することに決めました。」

 

ボルボ初の電動建設機械であるコンパクトなエクスカベーターとホイールローダーは、2019年にドイツで開催された建設業界向け大規模見本市である「Bauma」にて初公開され、その後の2020年には、市場別の段階的な投入を経て増産へと至りました。コンパクトで使いやすいこれらの機械は、都心部での作業に最適なものでした。 Gustav氏は次のように述べています。「都市や自治体は、その持続可能な開発に関して達成すべき独自の目標を設けているケースが多く、電動建設機械は、気候変動とも関係のある当該目標の達成にも役立ちます。」 

 

社会が変化すると、電気自動車を用いた公共交通といったインフラを望む住民の声が増え、新たなインフラの必要性も高まります。 Gustav氏は次のように述べています。 「Volvoでは、 『電化は電力関係者と協力して進める』というテーマを掲げています。欧州の自動車業界においては、充電ステーションが雨後の筍状態にあるため、その建設を電化することは、環境保護的にも優れた取組みであるとVolvoでは考えています。 電化を加速させるには、電力バリューチェーンに属する、エネルギープロバイダー、公益事業者および地方自治体といった利害関係者のすべてと密に協力する必要があります。 真の電化には、これらの利害関係者と有意義な協力関係を築く必要があります。」

 

Volvo Trucksによる電化支援の形

Muamer Music氏は、Volvo Trucksで建設セグメントのリーダーを務めています。 Muamer氏は、できるだけ現場に出向いて主要な建設関係者と会話を重ね、電動機械や電動トラックに対する関係者のニーズ、先入観および実体験の把握に努めています。

 

Muamer氏は次のように述べています。「電動トラックはすでに世界中の建設現場で活用されており、 建設会社が、環境保護に適した取組みに努めているとお客様にアピールするための材料にもなっています。 既存のトラックを電動トラックに置き換えるだけで、あらゆるニーズを満たす製品を手にすることができます。」

 

Muamer氏も指摘しているとおり、初めて電動トラックを体験した事業主やドライバーは、概して、電動トラックへの置換えを検討しますが、 これまでの想いを一夜にして変えることは難しく、通常は不可能です。 Muamer氏は、お客様が建設作業における電動機械の試用を躊躇する要因について次のように述べています。 「電化を躊躇しているお客様がその最大の要因として挙げているのは、作業中にトラックが停止してしまうのではないかという心配です。 ディーゼルエンジンの機械であれば、お客様も、生じ得る問題や問題への対処法について十分理解できていますが、電動機械のような新技術について十分理解するには一定の時間が必要です。 また建設業界においては、ドライバーによるトラックの取扱い方法が変わる点に関する懸念も常に存在しています。」

 

建設現場で活用されている電動ホイールローダーや電動トラック。

電化のメリット

一方Muamer氏は、比較的単純な構造である電動パワートレーンには独自のメリットもあるとしたうえで、次のように述べています。 「電動トラックには故障し得る構成部品が比較的少なく、その更新の大半はクラウドを介して実行できます。 またVolvoの電動トラックは信頼できる車両でもあり、 Volvoでは、徹底的な試験を経て、トラックが設計とおりのきわめて優れた性能を発揮できる状態に仕上がっているか確認しています。 電動トラックは気温の影響を受け得るため、暖かい環境から寒い環境に移動すると、バッテリー容量に影響が及ぶ恐れがありますが、 Volvoでは、バッテリーの状態を把握するのに役立つ概要情報を提供しており、ドライバーによる充電計画の作成や、車用モバイルバッテリーおよび充電器といった機器の取扱いを支援できる体制も整えています。 またVolvoのトラックなら、効率を重視した経路計算や休憩計画を作成することもできます。」

すべてが電動のトラックや機械で作業が実施されている現場を目の当たりにすると、建設作業に対する考え方が変わるかもしれません。 Muamer氏は次のように述べています。「これまでの建設作業は、汚れや騒音を伴い得るものでしたが、 建設会社が電化を進めると、カーボンフットプリント削減を推進できるだけでなく、 環境改善に取り組んでいるというメッセージを発信することもできます。 そして、電動トラックの稼働台数が増えれば、Volvoを取り巻く人々も、その有用性を高く評価するようになります。」

私たちはインフラ整備、開発、古い建物の改修、新しい建物の建設を続ける必要があります。私たちは決して終わることはありません:そのためには、トラックと機械が必要です。

建設作業においても、航続距離の不安は常に存在しますが、特に現場が都市部の場合、航続距離が問題となることはまずありません。 Muamer氏は次のように説明しています。「建設作業の大半は、機械の終日稼働が必要なものではないため、4つのバッテリーで十分対応できます。 2シフトごとに充電するよう計画しておけば、特に問題なく終日作業できます。 また、多くの電動トラックは日次使用のため、 1日あたり平均で100 kmから150 km走行した後には、車庫に戻って充電することができます。」


またMuamer氏は次のようにも述べています。「定期的な休憩の時間中にも再充電は可能なため、 バッテリー容量が問題になるケースはありませんが、念のため急速充電器を備えているドライバーもいます。 車用モバイルバッテリーをお持ちであれば、そのバッテリーでもトラックを簡単に充電できます。 もちろん、同じ充電器でトラックと建設機械の双方を充電できます。

電動トラックは、大規模インフラプロジェクトはもちろん、さまざまな資材を撤去するためにさまざまなダンプトラックを用意する必要のある解体作業にも最適です。 建物建設には、砂や砂利といったものを運搬できるトラックを用意するのが理想です。 ミキサーは、電気の力でも容易に作動させることができます。独自のバッテリーを用意してパワーテイクオフの代わりに用いるドライバーもいますが、Volvoでは、お客様の費用負担を極力減らすため、可能な限りパワーテイクオフの使用に努めています。 また現場では、交流電流コネクターと直流電流コネクターも使用できます。」

 

建設の電化がもたらす未来は?

現時点で電化を主導しているのは都市建設業者ですが、それには相応の理由があります。 欧州では今年度中に500を越える低排出ゾーンの設置が予測されています。 新たな低排出ゾーン設置が輸送業者や建設業者に及ぼす影響は甚大なため、設置後の環境では、先手を打った企業だけが、事業継続の形を見出せる状況にあります。

低排出ゾーン設置のような環境保護策が増えてくると、必要な作業を、より効果的に、より良い形で実施できる製品が必要になります。 この点は、他の技術が進化した場合と変わりません。 この電化の流れに対応するための動きについては、Muamer Music氏もすでに始まっていると考えており、 次のように述べています。 「今後5年の間には、航続距離やエネルギー容量の改善を含む多くの製品改良も予定されていますが、 Volvoのトラックなら、今すぐご購入いただいたとしても、今後5年間はもちろん、それ以降も、その寿命に達するまで問題なくお使いいただけます。」

 

建設現場で進む電化の動き

製品は出揃い、それを使う人々の考えも変わりつつあるため、今は、電化に向けた勢いを維持すべき段階にあります。 今後もこの勢いが維持されれば、電化に向け舵を切る現場もより増えると考えられます。

Gustav Boberg氏は次のように述べています。「現場に出向くとワクワクします。 極寒の環境を含むどのような環境でも問題なく稼働しているVolvoの機械を見ると、Volvoは電化の最前線にいると感じられるからです。 一方、電化を推進していくには、現場で働く人々とだけではなく、Volvoを取り巻くあらゆる関係者とも対話を重ねる必要があります。

Gustav Boberg は、ボルボ建設機械のセグメントマネージャーとして働いています。

電化に向けた取組みの環境が整った現状においては、 建設業界においても、セグメント単位で電化が進む見込みです。 無論、建設業界を取り巻くすべてが一夜にして電化されるわけではありませんが、 将来的には、言い換えると今から5年後には、電化に向け真摯に取り組んだ国がその最前線に立ち、 取組みを加速させていくことでしょう。」

建築プロジェクトを電化して首尾よく終えることができた事実は、電化すると作業をより良い形で終えることができることだけではなく、 電化すると、同じ作業を、ディーゼル燃料の機械を使うよりも良い形でことも示しています。 電化は、環境によっては最適解となる取組みですが、大半の環境においては有益な取組みとなり、 前向きな変革を進めている証としてもアピールできる取組みです。 Muamer Music氏は次のように述べています。「電化は、 お客様、環境、地域のみならず、 関わるすべての人にも有益な取組みです。 建設のような作業に停滞は許されず、 インフラの整備、開発、古い建物の階層、新しい建物の建設は、いずれも継続が必要なものです。 このため、建設は終わりのない作業といえ、 それに対応できるトラックや機械も必要となります。」