給油体制の最先端

航空機の給油作業には特殊な車両を使う必要がある。しかも、ロシアの空港で運用するには豪雪や-50℃以下の酷寒にも耐えられなくてはならない。技術の粋をつくした車両開発力が要求される分野だ。

滑走路のエアバスA380。

アヴィアテクノロジー社は移動給油タンクローリーを主力製品とする架装メーカー。同社の給油車は、ロシア最大のドモジェドヴォ空港(モスクワ郊外)などで運用されている。

セルゲイ・アロノフ氏

セルゲイ・アロノフ氏(ZAO NPOアヴィアテクノロジー社の技術担当ディレクター)

「当社は、単に国際標準を満たすだけでなく、ロシアの航空業界に特有の苛酷な条件に対応できる製品を作っています。そのための生産体制は独特なものですね」と、架装メーカーであるZAO NPOアヴィアテクノロジー社の技術担当ディレクター、セルゲイ・アロノフ氏は言う。同社の航空機給油車は、ロシア全土と他の国々の空港で活躍している。

特殊架装車両メーカーのアヴィアテクノロジー社が航空機給油車に参入したのは、ソビエト連邦が崩壊し、ロシアの国内・国際航路を飛ぶ外国機が増える時期だった。そうした航空機の運用には、きわめて質の高い地上サポートが必要とされる。当初はロシア国内のトラック・メーカーからシャーシを調達していたアヴィアテクノロジー社だが、ほどなく、国産トラックの品質では四季を通じて技術要件に対応できないことが明らかになる。そこでヨーロッパのトラック・メーカー数社と折衝を重ね、最終的に、ボルボ・トラックを新たなシャーシ供給元として選んだ。

私が担当する航空機の数は、月間で50~60台ほどです。こんなに稼働負荷が大きいと具合が悪くなる車両もありますが、ボルボなら心配ありません。

アンドレイ・ポポフ氏(AOシェル&アエロフュエルス社のドライバー・オペレーター)

それ以来、アヴィアテクノロジー社とボルボ・トラックの間には、戦略的な技術ソリューションを上級マネジメント・レベルで共同開発する関係が10年にわたって続いている。

「協業関係を結んだその年に、シェレメーチエヴォ空港とドモジェドヴォ空港向けの航空機給油車を作りました。10年前にボルボ・トラックと手を結んだことは、いま思えば、私たちにとって完全にプラスになる判断でしたね。これまでボルボ・トラック製シャーシをベースにして製造した航空機給油車は、すべてが今も空港で稼働しています」(アロノフ氏)

セルゲイ・アロノフ氏

アンドレイ・ポポフ氏(AOシェル&アエロフュエルス社のドライバー・オペレーター)

「協業関係を結んだその年に、シェレメーチエヴォ空港とドモジェドヴォ空港向けの航空機給油車を作りました。10年前にボルボ・トラックと手を結んだことは、いま思えば、私たちにとって完全にプラスになる判断でしたね。これまでボルボ・トラック製シャーシをベースにして製造した航空機給油車は、すべてが今も空港で稼働しています」(アロノフ氏)

そして、ここ2年ほどは業界内の集約化が進んだ。航空機給油車メーカーは、EU圏に8社、ロシアにはわずか2社が残るのみである。

「かつて、お客様は運用コストが安い製品を求めていろいろなメーカーを検討したものです。しかし、現在は違います。お客様は品質が良くて価格がリーズナブルな製品を求め、結果的に販売代理店を使わなくなりました。今は特殊車両・特殊機械メーカーとの直取引が普通になっています」(アロノフ氏)

この流れはアヴィアテクノロジー社にとって追い風だ。設計図面を起こす段階から、完成車両の製造、テスト、顧客への納品まで、一連のサイクル全体を自社で手がけてきた体制が生きる。また、シャーシ・メーカーとの関係、運用者である顧客との関係を両方とも大切にしてきたことが強みになる。シャーシ・メーカーのきめ細かな対応を引き出しやすいため、高度な技術的ニーズへの対応や、上部構造とシャーシの緊密な機能統合を実現しやすい。これは、たとえば安全性などに関して優れた機能を提供できることを意味する。

さらに、サービス・サポートの内容も重要だ。アヴィアテクノロジー社の車両には、運用現場の実際的なニーズに即した良質なサポートが付随する。「機体にぴったり隣接して作業する給油車の責任は重大です。こういうところでは、ブランドの実績と信用がやはりモノをいいますよ。当社の給油車には、ドモジェドヴォ空港の運営を担うAOシェル&アエロフュエルス社を納得させる信用力があります。良いブランドの車両が当社の信用にもつながっているんですね」(アロノフ氏)

これまでボルボ・トラック製シャーシをベースにして製造した航空機給油車は、すべてが今も空港で稼働しています。

セルゲイ・アロノフ氏(ZAO NPOアヴィアテクノロジー社の技術担当ディレクター)

タンクローリー製造。

アヴィアテクノロジー社にとって信用と安全性は大きな財産。車両の製造には、確かな品質の裏付けがある材料や部品だけを使っている。

AOシェル&アエロフュエルス社は、2008年、ボルボ・トラック製シャーシをベースにした航空機給油車をドモジェドヴォ空港の業務に採用した。同社始まって以来の国外ブランド採用事例である。今では、同社が使用する航空機給油車のシャーシはすべてボルボ。ヨーロッパ、アジア、アメリカのさまざまな航空会社の機体に、ボルボの車両がジェット燃料を補給し続けている。給油対象となる機体には、ビジネスジェット機もあれば、ボーイング787ドリームライナーのようなワイドボディー機もある。

AOシェル&アエロフュエルス社のアンドレイ・ポポフ氏は、ドモジェドヴォ空港に初めて導入されたボルボFM 2台のうち1台を任されているドライバー兼オペレーター。「この車両を手放す気はさらさらないですね。同じモデルの新型に乗り換えるというなら別ですが」という。

ポポフ氏とその同僚たちは、ボルボ・トラックが開催する専門ドライバー向けトレーニング・コースを定期的に実行する。また、特殊機材のオペレーター免許を取得するために試験を受けることが義務づけられている。空港での業務において、安全性と品質は最優先事項だ。

「12時間シフトの勤務時間中、3~4台の飛行機にジェット燃料を補給します。1か月に16回のシフトがありますから、月平均50~60台の機体に対して給油作業をこなしている計算ですね。こんなに稼働負荷が大きいと具合が悪くなる車両もありますが、ボルボなら心配ありません。事実が何よりの証拠です」(ポポフ氏)

航空機の給油作業。

1台の給油車が担当する航空機の数は月間50~60台。プライベートジェット機もあれば、ボーイング787ドリームライナーのようなワイドボディー機もある。

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