Eコマースの発展で変貌する中国の物流業界

Eコマースの発展によって、中国では商業だけでなく物流業界の様相も変わりつつある。そんな中、トラックの稼働時間と効率性がにわかに重視されるようになった。

上海の道路を走るボルボFH

中国では、Eコマース業界の急成長を受け、三笑物流(サンシャオ・ロジスティクス社)のような輸送会社の収益が拡大している。

Eコマースの発展によって、中国では商業だけでなく物流業界の様相も変わりつつある。そんな中、トラックの稼働時間と効率性がにわかに重視されるようになった。

2014年、Eコマースの市場規模において中国が米国を抜き世界一となり、中国のEコマース業界は世界中のニュースを賑わせた。オフィスワーカー、若者、農家……いつの間にか、この国のあらゆる人々がオンラインで買い物をする時代になった。2014年11月の「独身の日」商戦では、Eコマース最大手のアリババが1日で2億8,000万件もの受注を記録した。そして、オンライン販売の急拡大は物流業界のあり方をも急激に変えつつある。

三笑物流の社長、周志礼(チョウ・チーリー)氏はこう話す。「現在、価格はそれほど重要視されていませんね。何より大切なのは、品物が予定どおりに届くことです」

上海郊外の同社オフィスで、樹齢1,500年の切り株からつくられた茶芸テーブルに座り、周氏は中国の伝統的な作法で茶を淹れる。茶葉を蒸らし、テーブルに並べた茶碗に湯を回しかける所作を何度か繰り返して最適な風味を引き出すスタイルだ。このテーブルで、彼はサプライヤーや顧客と語り合うのである。

このブランドの実績はボルボ・トラックを使って築き上げたものです。信頼できる車両は、ビジネスを動かすために欠かせない要素です。

周志礼(チョウ・チーリー)氏

三笑物流(サンシャオ・ロジスティクス社)社長

周志礼(チョウ・チーリー)氏

500台あまりのトラックを運行する三笑物流(サンシャオ・ロジスティクス社)の社長、周志礼(チョウ・チーリー)氏。

周志礼氏の第一印象は歴史上の人物のようだ。7世紀頃、唐代の政治家たちも同じように茶を飲んでいたことだろう。また、黒髪をとかしつけた丸い顔はどことなく毛沢東氏の姿に似ていなくもない。この国の広場や紙幣で今もよく目にする、あの偉人だ。

そんな印象とは裏腹に、周氏本人は、30年ほど前から中国が歩んできた劇的な近代化の過程を体現するような人物だ。

彼は非常に貧しい地方の小作農だったが、仲間や親類縁者から資金を工面して、1990年代の初頭に自分のトラックを購入し、トラック・ドライバーになった。

「初めてトラックを手に入れた日は、それはもう嬉しくて。新車の上で一泊しましたよ」と顔をくしゃくしゃにして笑う。

周氏はキャリアを積み、三笑(当時は公営企業)のトラック管理責任者を任された。その後、三笑の運輸部門が分離独立して現在の三笑物流が生まれ、彼が社長に就任したのである。

三笑物流は、今では中国全土に20あまりの物流センターを配置し、500台を超えるトラックを運行する大企業に発展した。その保有車両に含まれるボルボ・トラックの割合は拡大しつつある。新型ボルボFHを中国で最初に購入したのも同社であり、新型ボルボFHの現在の保有台数は8台だ。

中国では、同社のような大企業でさえ変化への対応が非常に速かった。三笑物流はその典型例ともいうべき存在である。

というのも、実は同社はほんの6か月前までEコマースの配送業務をほとんど扱っていなかった。ところが現在は、Eコマース貨物の割合が事業全体の50%を超えるまでになった。

周氏は、これほど速い変わり身を遂げるにはボルボ・トラックの車両が不可欠だったという。「このブランドの実績はボルボ・トラックを使って築き上げたものです。信頼できる車両は、ビジネスを動かすために欠かせない要素です」

茶を淹れる周志礼氏

上海郊外のオフィスで、樹齢1,500年の切り株からつくられた茶芸テーブルにつく周志礼氏。

傍目には、中国のように巨大かつ経済成長著しい国でビジネスを拡大することはさほど難しくないようにも思える。ところが実際はそう簡単でもない。確かに市場規模は大きく、国の経済は急成長中だが、輸送業界はキャパシティ超過と非効率に悩まされている。多くの輸送会社は思うように収益を上げられずにいるのが実情だ。

リーマンショックで世界に激震が走ったとき、中国では、影響をできるだけ緩和するための策として政府肝いりの大規模インフラストラクチャ開発事業が実施された。トラック市場はその恩恵を受けて劇的に拡大し、2010年には130万台という出荷台数を記録した。

現在、この国には潤沢な数のトラックが走っている。それどころか、市街地の外に荷積み待ちのトラックが停まっている姿をよく見かけるようになった。また、配達を終えたトラックの3台に1台は空荷で引き返している。

この厳しい市場において収益性を確保するために、三笑物流は、Eコマース商品など高付加価値物資の配送と、時間的な要求の厳しい案件への対応に力を入れる必要があったのだ。

変化に追従するのではなく、変化を主導することが私の哲学です。

周志礼氏

三笑物流の社長

効率性を向上してビジネスの複雑性に対応するために、三笑物流は有能な人材を集めた。現在のトラック運行管理責任者も、国際物流企業TNTで物流ビジネスの経験をしてきた人材だ。また、競合企業の多くがトラックを酷使し続け、エンジン不調や路上停止が発生するまで乗り潰すような運用をする中で、同社はボルボの全車両にボルボ・ゴールド・コントラクト契約を付け、最大限の稼働率と燃費効率を維持する方針を選んだ。

「最近は月間4万kmくらいの走行距離を見込めるようになっています。稼働停止はありませんね」

Eコマース業界にこれほどの成長をもたらしている要因の1つは、この国の広大さだ。ウェブを使えば、はるか西の内陸部でも、国際都市上海の人々と同じようにファッショナブルな商品の情報を得ることができる。

広大な市場をカバーすることは決して簡単ではないが、三笑物流の繁栄は、そこで必要とされる長距離輸送の賜物でもある。たとえば同社が所有する中国第1号の新型ボルボFH(塗装色ブラック)は、上海から西部地方の奥地へ至る4,000 kmもの長大なルートを担当している。これほどの長距離では、省燃費性能と稼働率に優れた車両への投資効果が非常に表れやすい。

ビジネス開拓の難しさについて訊くと、周氏はこともなげに答えた。「難題のあるところには必ずチャンスがありますよ。変化に追従するのではなく、変化を主導することが私の哲学です」

 

周志礼氏とボルボ・トラック。

三笑物流におけるEコマース配送業務の取扱量は、ほぼゼロの状態からわずか6か月で事業全体の50%を超えるまでに増大した。

フリート

ボルボ一筋

車両:ボルボFH 440 6×2トラクター8台 / ボルボFH 480 6×2トラクター6台 / 新型ボルボFH 460 6×2トラクター8台
業務環境:さまざまな気候の土地を走行する長距離輸送。中国の南部地方は亜熱帯気候だが、北西地方では気温が-20℃まで下がることもある
アプリケーション:ボルボ・トラック全車両にI-シフトとベッド2基を搭載。さらに、8台のボルボFH 460 6×2トラクターにはステアリング補助機能(VDS)、レーンキーピング・サポート、アダプティブ・クルーズ・コントロールなどの先進機能も装備。
燃費:連結総重量55トンで、100 kmあたり37L

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